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―相関分布パターン(太平洋沿岸)―
(北日本)
巻末資料8によると、北日本の通年の相関係数分布パターンは、北緯45度〜55度、東経145度〜160度で高い相関を示す共通した分布をする(例:図4.5)。
季節別にはそれぞれ特徴があり、冬季にはカムチャッカ半島・千島列島周辺と北アメリカ南東部とヨーロッパ付近で高い相関をもつ明瞭な3波型のパターンを示す(図4.5)。これらより、冬季の北日本沿岸では超長波(波長約10,000km)の変動(位相、振幅等)が波候に影響を及ぼすことが示唆される。つまり、超長波の波長に長波(5,000〜6,000km)や短波(300?)の波が重なり、その結果、気圧の谷が深まり、擾乱が発達し、あるいは長時間持続して、例年より高波が多く発生するものと考えられる。
春季と秋季は、冬季と比較して相関係数の分布パターンは多様であるが、3波型を中心に2〜4波の波長パターンを持つ高相関場を示す。
夏季では日本列島を取り巻く北緯30度〜50度帯に負の相関場が示され、正の高相関場は北緯50度以北に位置する、3波型パターンを示し、北緯30度以南にも不明瞭ながら正の相関場がある(図4.5)。
(西日本)
通年では北緯35度〜40度、東経145度〜150度に高い相関域が現れる(図4.5)。この相関域は北日本に較べてより低緯度に位置する。
季節別では、冬季は高相関場は3波型を示す。北日本沿岸と較べて異なる点は、北日本ではカムチャッカ半島付近で高い相関を示すのに対して、西日本沿岸の波高偏差は、より低緯度の北緯30度付近との相関が高いことである(図4.6)。これは北日本沿岸と西日本沿岸のそれぞれにおいて、波浪を発達させる気象擾乱の立体構造が異なることを意味するものと考えられる。
春季・夏季・秋季の相関分布は一様ではなく複雑である。

 

 

 

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